K建設が使用したのはBuilderHub-Qです。積算に特化した製品で、目的はどれだけ必要かを正確に知ることでした。
日本市場の要求は違いました。日本では構造安全性と施工可能性を設計段階で同時に担保する必要があり、鉄筋の干渉検討が事実上の必須プロセスです。数量が合っているだけでは足りず、このまま実際に施工できるのかに答えなければなりませんでした。
そこでQを高度化してBuilderHub-Rをつくりました。日本でも当初はBuilderHub-Q/JPから始まり、現地の要求に合わせて発展した結果がRです。

積算中心(Q)
鉄筋交差部のレベル処理と曲率・重なりを簡略化。数量算出には十分な精度。

施工検証中心(R)
交差部レベルと曲率・重なりを実際の施工形状どおりに生成。干渉を判定できる精度。
| 区分 | BuilderHub-Q | BuilderHub-R |
|---|---|---|
| 主な目的 | 速く正確な数量算出 | 実際に施工可能な鉄筋配筋の実現 |
| 使用段階 | 見積 · 予算 · 実行予算の数量算出 | 構造設計 · 施工準備 |
| 配筋生成 | 構造基準にもとづく自動配筋 | 実際の施工形状にもとづく精密配筋 |
| 干渉検討 | 基本的な検討レベル | 自動鉄筋干渉検討+編集 |
| 解決する課題 | 見積誤差、数量算出の非効率 | ヒューマンエラー、配筋干渉、施工ミスの予防 |
| 拡張 | 実行予算の数量管理 | 鉄筋施工図 · BBS · IFC連携 |

日本のお客様に、第2部や第3部から始めてくださいとは言えません。
蓄積された躯体BIMデータなしには、DBベースの概算見積も、常時の乖離管理も、入札数量の検証も成立しないからです。
K建設の8年が教えるのは順序です。まず個別プロジェクトで従来方式と比較して信頼をつくり、その過程でデータが積み上がったとき、はじめてプロセスが開けます。
4.1組織を先に整える必要はない
ここで誤解されやすい点があります。「では自社もBIM組織づくりから始めるべきか」です。そうではありません。
第2部で確認したとおり、8年を積み上げたK建設ですら躯体BIMモデリングと数量算出は専門の外注に任せています。 社内が握っているのは、基準を定め結果を検証する仕事です。つまり始めるために必要なのは人員ではなく、信頼できる算出結果です。
ただし外注だけでは第2部に到達できません。 社内が握るべき領域 — 基準の策定、成果物の検証、概算見積DB — があり、それは会社が自ら道具を持ってはじめて可能になります。だからこそ、二つの筋道が並行して進みます。
| 段階 | ソフトウェア — 本社 · BIM担当 | 外注 — 現場の算出実務 |
|---|---|---|
| 1. 検証 数現場 | 本社に少数ライセンスを導入 従来数量と照合し、差異の原因を自ら確認 | 躯体BIMモデリング · 数量算出 · 干渉検討の納品 |
| 2. 定着 | 社内算出基準の策定 · 成果物確認体制の確立 | プロジェクト単位で反復実施 |
| 3. 拡大 | 検証完了 → 全現場へ適用 蓄積データで概算見積 · 精算根拠に活用 | 範囲の拡大 · 現場需要に応じて併行 |
K建設がたどった経路が、まさにこれです。導入期は本社のBIM専門家が試行現場を支援しながら少数で始め、結果が検証されると全現場へ拡大しました。
日本ではこの役割を合弁パートナーのBnB Solutionsが担います。2026年7月に開始した「BuilderHub Modeling Support」がそれで、構造図(DWG)をお預かりし、配筋を含むRC BIMモデルを自動生成したうえで、鉄筋干渉検討と数量算出を行って納品します。納品データはRevit形式にも対応します。
| サービスタイプ | 内容 | 適したプロジェクト |
|---|---|---|
| BASIC スピード重視 | 構造図をもとにBIMモデルを生成。短納期で納品 | 標準的な接合部詳細が多い建築 |
| STANDARD 干渉回避に対応 | 鉄筋の干渉部を配筋基準に沿って調整したモデルを作成 | 干渉が避けられず検討が必要な建築 |
| CONSULTING 設計支援 | 鉄筋の調整だけでは解けない課題について、構造エンジニアが解決策を提案し干渉を解消したモデルを提供 | 難易度が高く、設計検討を要するプロジェクト |
顧客企業名・現場名は匿名処理しており、数値は公開発表資料および事前に協議された範囲のみを引用しています。図表とグラフは原資料をもとに新たに作成しました。
